日々応用が始まっている翻訳や音声認識といった自然言語処理とenHackの英語学習は、実は深い関係にあります。
enHackの構文解析は、自然言語解析の過程で生まれてきたものなのです。構文解析は翻訳や音声認識につながっています。
enHackの構文解析は、依存構文の考えで作られたものなのですが、この依存構文は日本の研究者間ではあまりにもマイナーでした。この言語学の研究者、英語教育の研究者は、日本ではわずかしかおりません。
一方、自然言語処理の情報工学の研究者は、日本を含めほとんどが依存構文で研究を行っています。Google等の企業をはじめ、スタンフォードに代表される研究機関も依存構文を採用しており、世界はこの言語理論とAIのもとで急激に変化してきています。
また、日本の英語教育についても、世界とのズレが目立ち始めています。調べてゆくと、日本の英語教育、文法教育は日本語に訳すためのテクニックである姿が浮かんできます。リーディングはできるけれど、話せない、書けない問題が浮かび、英語教育の現場は少し混乱しているようにも見えます。
下記リンク集で世界の動きと英語教育の現状について確かめて下さい。
英語教育での現場の先生たちの悩みが良く分かる。文法授業は英語教師の晴れ舞台、というちょっと皮肉めいた指摘が面白い。
日本の英文法教育の歴史をつづった研究。斎藤秀三郎氏からの本流がどう変遷してゆくかを調べた貴重な論文。日本の学校英文法が、分類主義に偏りすぎた反省点もある。なにより、日本の英文法教育が、日本独自に発展したものであることが良く分かる。
検定を受けた英文法の教科書は現在、存在しない。その事情と、教育現場での混乱と自由裁量の拡大等が報告されている。
日本独自に発達した、英語教育法について考察している。漢文解釈をヒントに、さらにはジョン万次郎にまで行きつく、英語をいかに日本語に訳してゆくか、というこの授業法についてその歴史と実際について書かれている。
ハワイに移住した日系人等について、英語習得を調べた研究が有名。1世は移住後、数十年たっても英語を滑らかに話すことはなく片言の英単語(言語学者はこれをピジン語と呼んでいる)で意思の疎通をなんとか行っていた。しかし2世の子供や移住した他国の子供、現地の子供たちは、ピジン語をベースに独自の構文を作り出し、洗練された文法を持つ言語を作り上げた。これがハワイアンクレオールと呼ばれている。
母語を習得する脳の臨界期である十数歳までに、子供たちは脳の中に構文処理のシステムを自ずと作り上げる能力を持っていることが示唆されている。つまり、子供が言語を話せるようになるのは、単に大人の真似をしているのでは無く、実は子供は脳内で文法を独自に作っていたことになる。手話についても同様の現象が報告されていて、障害を持った子供の親は、片言の手話しか話せない傾向があるのに、子供たちは洗練された文法を持つ手話が話せるようになってゆく。
対象となるビジネスマンのサンプル数が少ないので、正確ではないが、日本語を母語とする日本人ビジネスマンの英語がハワイ・クレオールに類似している、というとても興味深い研究。
脳の言語野の臨界期は、十数歳と言われているが、ネイティブの語彙習得数のグラフをみると、数歳から急速に語彙を増やしてきて、2万語を憶えた12歳で大きな変化が起きることが示されている、その後17歳がまた一つのポイントになり、以降は、語彙の習得はなだらかな曲線になる。やはり、第1言語である母語を覚える脳の臨界期は12歳あたりが有力だ。
下記のデータにあるように、英語学習者の平均の語彙力は4,500語。それに引き換えネイティブの7歳の子供の語彙力は、上記のように1万2千語。多くの学習者が7歳の子供にかなわないことが示されている。
Wiredの記事。近年の自然言語処理で起きた様々な革新について概説している。
これらの革新を起こした人々の解説が面白い。
自然言語処理ついて、様々な解説をしてくれているかなりのボリュームのサイト。勉強するにはいいかもしれない。
自然言語処理の革新的な処理の原点となったWord2Vecについてのちょっと専門的な解説
公開されている単語埋め込みベクトルのダウンロードサイト紹介。
試しに少し使ってみると、概念の近い語がマッピングされたり、今起きている革新について触れることができる。